後悔代行業

「あなたの後悔、代行します!」

ネットサーフィンをしていた私の目に見慣れない広告が映った。「後悔を代行する?どういうことなんだ?」興味を持った私は広告をクリックした。「あなたがこれからする後悔を我々が全て引き受けます!お金は頂きません、その代わりに手数料として寿命1日を頂きます。」サイトにはこのように書かれていた。「お金がかからないのか。寿命1日くらいなら払ってもいいな。」そう思った私は申し込みのボタンをクリックする。手続きは驚くほど簡単だった。名前とメールアドレスを入力すると手続きは完了した。「これで後悔しなくなるのか。」手続きを終えた私だったが疑わしい気持ちは残る。しかし、申し込んだことに後悔はしなかった。それからの生活はとても良いものであった。後悔をしなくなったことで自分の選択に自信を持てるようになった。自信を持っていると不思議と物事は上手くいく。失敗知らずになった私は全てを手に入れた気持ちになっていた。ある朝、出勤のために外に出ると、玄関の前に男が立っていた。その男は、なんというか、特徴のない男であった。1日も経ったら顔を忘れてしまうほど。男はにこやかな表情で口を開いた「毎度ご利用ありがとうございます。私、後悔代行の渡と申します。この度あなた様の寿命が残り0日となりましたので報告に参りました。」私は驚きのあまり声を出す事を忘れてしまった。「寿命が0日?どういう事だ?手数料は1日だけじゃなかったのか?」男は混乱する私に近づき、持っていたナイフで心臓を突いた。やはり後悔はしなかった。